[第3回]高圧ガスの定義は図をイメージしよう!

法令

高圧ガスはどんなことを言うの?

高圧ガスの定義の文章を読んでもよくわからない!

高圧ガスの定義は毎年出てきます。なのでしっかりと理解が必要です。

けれども、過去問の解説を読んだり、定義の文章を読んでもピンとこないですよね。ずらずらと文字が並んでいて結局何が高圧ガスなのかがわかりにくいです。

そこで今回は、高圧ガスの定義の文章について図を用いながら解説いたします。また文章を理解するために必要な知識も紹介していきます。

また今回は高圧ガスのお話のため、MPaがよく出てきます。MPaがよくわからないよーという方は、こちらも読んでみてください。

対象物と共通の文章構造について理解しよう!

今回のテーマである高圧ガスの定義は、下記のように定められています。

こちらは読み飛ばしてもらい、解説中にチラチラと戻って確認してください。

(定義)
第二条 この法律で「高圧ガス」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 常用の温度において圧力(ゲージ圧力をいう。以下同じ。)が一メガパスカル以上となる圧縮ガスであつて現にその圧力が一メガパスカル以上であるもの又は温度三十五度において圧力が一メガパスカル以上となる圧縮ガス(圧縮アセチレンガスを除く。)
二 常用の温度において圧力が〇・二メガパスカル以上となる圧縮アセチレンガスであつて現にその圧力が〇・二メガパスカル以上であるもの又は温度十五度において圧力が〇・二メガパスカル以上となる圧縮アセチレンガス
三 常用の温度において圧力が〇・二メガパスカル以上となる液化ガスであつて現にその圧力が〇・二メガパスカル以上であるもの又は圧力が〇・二メガパスカルとなる場合の温度が三十五度以下である液化ガス
四 前号に掲げるものを除くほか、温度三十五度において圧力零パスカルを超える液化ガスのうち、液化シアン化水素、液化ブロムメチル又はその他の液化ガスであつて、政令で定めるもの

冒頭でも言ったように、MPaがよく出てきますね。

こちらの定義の文章は「そのガスは高圧ガスであるか」を判断するために定められています。そして定義は第二条の一項、二項、三項、四項からなっています。

4つの項からなっていますが、実際に直近8年間で出題されているのは一項と三項のみです。さらにここ5年間は、5年間連続して三項のみが出題されています。

そのため今回理解していただきたい文章は、定義の一項と三項になります。

4つの項にはそれぞれ対象のガスがあり、一項は圧縮ガス、三項は液化ガスを対象にしています。

つまり、「この圧縮ガスは高圧ガスであるか」は、一項により判断できます。

同じ様に、「その液化ガスは高圧ガスであるか」は三項により判断できます。

どっちが何項かは覚えなくて大丈夫です。ですが、その対象物が変わることで、圧力の基準値が変わります。その数値は、後ほど内容と一緒に紹介します。

補足:圧縮ガスとは? 液化ガスとは?

圧縮ガスとは、「気体」のガスに圧力をかけて、圧縮したガスのことです。

液化ガスは、常温で「気体」のガスであったものを冷却や圧縮をして、無理やり「液体」の状態にしたものを言います。

液化ガスにすることで、「気体」の状態のときよりも、大きさが小さくなり持ち運びやすくなる、というメリットがあります。

液化ガスで身近なものは、プロパンのボンベの中身や、ライターの中の液体などがあります。

また、ここで扱っているガスは、プロパンガスに限らず、水素ガスや窒素ガスなど全般を含めてガスと言います。

紹介する文章と対象物がわかったところで、次に文章の構造を見てみましょう。

文章は一項と三項はどちらも文章構造が同じ様な表現になっています。

 構造は、どちらも「又は」により上文下文に分けられています。

そのため「上文又は下文」という文章になり、上文か下文どちらかの条件を満たしていれば高圧ガスであるといえます。

ここまでわかったところで、内容を見ていきましょう。

覚える文章構造は同じ! 対象物とその基準圧力を覚えよう!

先に内容のまとめを紹介します。

圧縮ガス
上文 常用の温度で1MPa以上であって、現に1MPa以上である
下文 温度35℃において1MPa以上である
液化ガス
上文 常用の温度で0.2MPa以上であって、現に0.2MPa以上である
下文 0.2MPaとなる温度が35℃以下である

内容を見比べてもらえればわかりますが、圧縮ガスも液化ガスも書かれている内容はほぼ同じです。

上文で注意して頂きたいところは、上文の中には二つ条件が入っていることであり、どちらも満たしていることで上文が満たしていると言えます。

下文の表現は違いますが、どちらも「35℃のときに基準の圧力になっているか」がかかれています。

違うところは基準の圧力のみです。圧縮ガスが1MPa、液化ガスが0.2MPaとなります。

補足:常用の温度とは? 現にとは?

「常用の温度」とは、そのガスを通常に使っていく中で、そのガスがなり得る一番高い温度のことを言います。

例えば、ある機械を使うときにガスがなりうる一番高い温度が50℃のときは常用の温度は50℃となります。

このように、常用の温度はガスの用途により変わるものです。

また、「現に」とは、「それが高圧ガスであるか」を判断しようとしているときを言います。

試験では、常用の温度はそのまま「常用の温度」、現には「現在の圧力が○MPa」となり出題されます。

図で状況を整理しよう!

高圧ガスであるかを判断するときに出てくる数値は、温度と圧力です。

図にすると、この様になります。

例として、AガスとBガスとCガスを書きました。赤の線のところが高圧ガスと言えます。

何度も書きますが、基準の圧力は圧縮ガスが1MPa、液化ガスが0.2MPaです。

液化ガスの場合は曲線になりますが、二種販を解く上では重要ではありません。曲線がわからない方はこの文を無視してもらって大丈夫です。

例題は、実際に試験で問われる様な内容となっています。

例題1

以下の文は正しいか、誤りか?

圧縮ガスであって、温度35℃において圧力が1MPaとなるものは高圧ガスである。

答え:正しい

圧縮ガスの下文より、正しいことがわかります。

図ではBガスのようになります。

もし、この文に「現在の圧力は0.9MPaである」や「常用の温度において圧力が0.9MPaである」という文言が入っていても、下文が満たしているため正しいと言えます。

例題2

以下の文は正しいか、誤りか?

圧力が0.2MPaとなる温度が35℃以下である液化ガスは、高圧ガスである。

答え:正しい

液化ガスの下文より、正しいことがわかります。

図ではAガスのようになります。

例題1と同じ様に、

もし、この文に「現在の圧力は0.9MPaである」や「常用の温度において圧力が0.9MPaである」という文言が入っていても、下文が満たしているため正しいと言えます。

例題3

以下の文は正しいか、誤りか?

常用の温度において圧力が0.2MPaとなる液化ガスであって、現在の圧力が0.2MPaであるものは高圧ガスである。

答え:正しい

液化ガスの上文より、正しいことがわかります。

図ではCガスの赤線の部分のようになります。

上文は二つ条件があり、その二つを満たすことで上文が満たしていると言えます。

例題4

以下の文は正しいか、誤りか?

常用の温度において圧力が1MPaとなる圧縮ガスであって、現在の圧力が0.9MPaであるものは高圧ガスである。

答え:誤り

圧縮ガスの下文より、誤りであることがわかります。

図ではCガスの黒線の部分のようになります。

上文は二つ条件があり、その二つを満たすことで上文が満たしていると言えます。

今回は、現在の圧力が基準の圧力に達していないため、高圧ガスではありません。

まとめ!

今回は補足が多くて、なかなかわかりにくいかと思います。

ただ、毎年出ている問題のため、ここが理解できれば得点につながりやすいです。

最後に今回伝えたかったことをまとめます。

 

こちらは定義の文章の読み方。

文章構造のまとめ

・「又は」によって上文下文にわかれている

・上文下文どちらかを満たしていると言えれば高圧ガスである

・上文の中には二つ条件があり、その二つを満たすことで上文が満たしたことになる

・下文は条件が一つ

 

最後に問題を解く上で考えること。

対象物による数値の違いまとめ

・対象物が圧縮ガスのとき➡️基準圧力は1MPa

・対象物が液化ガスのとき➡️基準圧力は0.2MPa

解き方の手順まとめ

1.35℃のときに基準の圧力になっているか➡️なっていれば高圧ガス

2.常用の温度で基準の圧力以上であり、現在の圧力は基準の圧力以上である ➡️両方当てはまっていれば高圧ガス

3.1,2どちらも満たしていなければ高圧ガスではない

 

 

 

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